化粧品の広告を作る時、どんな表現を使っていいか、何を言ってはいけないかを知ることはとても大切です。ルールを知らないと、無意識に法律違反をしてしまい、最悪の場合、課徴金請求をされるケースもあります。
化粧品の開発や販売に携わる皆さんは、化粧品広告の基礎について知っておきましょう。
この記事では、化粧品の広告で注意すべきルールについて、全体像を解説します。
なお、今回の記事では「一般化粧品」にフォーカスして説明します。医薬部外品については対象外となりますのでご注意下さい。
さきりこ
大手メーカー化粧品研究員
開発した商品でベスコス受賞経験のある化粧品のプロ
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化粧品広告のOK/NGの考え方全体像
「効果と使用感」と「その他演出する表現」では、判断の仕方に違いがあります。
そのため、これらを分けて考えると全体像が把握できます。
- 効果=肌/髪を〇〇にする、〇〇を与える、〇〇効果
- 肌や髪に何らかの作用を与える
- 使用感=しっとり、さっぱり
- テクスチャーや香りなど
- その他演出する表現=贅沢、持続性、無添加、浸透、〇〇のような、エイジングケアなど
- 効果と使用感以外の全て
- 効果と使用感:決められた範囲内だけOK
- その他演出する表現:NGを避けて個別に判断
この分類を前提として、広告のOK/NG判断は次の概要となります。
効果と使用感
効果と使用感では、言っていいことだけが書かれています。
効果と使用感は、次のことしか訴求できません。決められた範囲外のことを言ったら即NGということです。
- 56項目
- メーキャップ効果
- 物理的効果
- 使用感
例えば次のような表現です。
- 56項目
- ハリを与える
- ツヤを与える
- 肌を整える
- 保湿効果
- 肌/髪をすこやかに保つ など合計56項目
- メーキャップ効果
- 化粧崩れを防ぐ
- シミを隠す
- トーンアップ など
- 物理的効果
- マッサージによる血行促進
- 洗浄による汚れ落ち
- アイプチで二重にする など
- 使用感
- しっとり、さっぱり
- 清涼感
- 温感、冷感 など
参考:日本化粧品工業連合会 化粧品等の適正広告ガイドライン 2020年版
NG例としては、次のようなものがあります。
- ターンオーバーを促進する
- 56項目に書かれていない効果なのでNG。
- 肌のバランスを保つ
- 56項目に書かれていない効果なのでNG。
- ブルーライトから肌を守る
- 56項目に書かれていない効果なのでNG。紫外線カットによるシミ、そばかすはOK。
- 抗酸化作用
- 56項目に書かれていない効果なのでNG。エイジングケアなら条件付きでOK。
56項目にないもの、メーキャップ効果や物理的効果で表現できないものは全てNGです。
一見、マイルドな表現の「肌のバランスを保つ」なども、56項目にないのでNGとなります。
その他演出する表現
その他演出する表現では、言ったらダメなことが書かれています。
禁止されている表現は例えば次の通り。
- デラックス処方
- これさえあれば
- 絶対
- 叶う
- 安心・安全
- 治癒・回復・改善
- 漢方・生薬・薬
- デトックス
- 日本一・日本初
- 医師の推薦
書かれていないことは全部OKというわけではないことに注意しましょう。
NGと書かれていなくても、個別に考えた結果、NGとなる例もあります。
ルールに違反するとどうなる?
誇大広告であると判断された場合、次の罰則が設けられています。
①罰則
化粧品の誇大広告等をした者に対しては「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金」が科され、または併科されます(薬機法第85条第4号)。
また、法人にも両罰規定によって「200万円以下の罰金」が科されます(同法第90条第2号)。
②課徴金納付命令
さらに違反事業者に対しては、厚生労働大臣によって課徴金納付命令が行われます(同法第75条の5の2)。
課徴金額は、課徴金対象期間(※)(ただし、最長3年間)における誇大広告等に係る化粧品の売り上げの4.5%です。
参考:化粧品広告は薬機法に要注意! 広告規制の内容を詳しく解説
まとめ:化粧品の広告ルール全体像を把握しておこう
化粧品をOEM開発、販売する方は、化粧品の広告ルール全体像を知っておくことが大切です。
ルールを知ることで、
- 開発から販売まで一貫したメセージが伝えられる
- ブランドの信頼感が上がる
結果的に、一貫性のある商品開発、販売ができるようになります。
とは言え、「どう考えたらよいかわからない」とご不安な場合は経験豊富な美容ライターにご相談下さい。