自分だけの化粧品を作ってみたいと考えたことはありませんか?OEM(Original Equipment Manufacturer)という方法を使えば、個人でもオリジナル化粧品を作ることができます。しかし、化粧品ができたら次は「販売」という重要な段階が待っています。
今回は、OEMで化粧品を作った後に、どうやって売ればいいのかについて解説します。意外に思うかもしれませんが、化粧品OEM企業は、化粧品を製造するところまでは請け負ってくれますが、販売は自分で行う必要があります。
この記事では、自分で作った化粧品の効果的な販売方法や、気をつけるべきポイントをわかりやすく説明していきます。オリジナル化粧品販売への第一歩を一緒に踏み出しましょう。
- 作ったオリジナル化粧品の売り方
- 個人でもできる!販売方法の種類
- 失敗しない!気をつけたい注意点
さきりこ
大手メーカー化粧品研究員
開発した商品でベスコス受賞経験のある化粧品のプロ
成分にもとづいた「賢いキレイ」を届けるため、本サイト「myロットコスメ」で情報発信中!
美容のキホン、おすすめ化粧品の紹介をしています。
オリジナル化粧品ビジネスの基本
自分だけの化粧品を作って売りたい!そんな夢を持っている人も多いはず。でも、どうやって始めればいいの?と心配な方がほとんどだと思います。この章では、オリジナル化粧品ビジネスの基本を紹介します。自分のアイデアを形にする方法と、その魅力を探っていきましょう。
想いをカタチに!オリジナル化粧品のメリット
自分で考えた化粧品を作るって、とってもワクワクしますよね。オリジナル化粧品には、たくさんの魅力があります。
- 自分の理想を形にできる
- 市場のニーズに柔軟に対応できる
- ブランドの個性を出しやすい
- 小ロットから始められる
例えば、「敏感肌のための優しい化粧水を作りたい」という想いがあれば、それを実現できるのがオリジナル化粧品の魅力です。また、流行りの成分をすぐに取り入れたり、パッケージデザインにこだわったりと、自由度が高いのも特徴です。
さらに、最小ロット数が少ないOEM会社を選べば、初期投資を抑えてスタートできます。自分のペースでビジネスを成長させられるのは、個人や小規模企業にとって大きなメリットですね。
OEMって何?
OEMという言葉を聞いたことありますか?Original Equipment Manufacturerの略で、簡単に言うと「製造を他社に任せること」です。オリジナル化粧品を作る時、このOEMがとても役立ちます。
- 専門的な設備や技術が不要
- 少量から製造可能
- 専用の許可や届出が不要な場合が多い
- 製造にかかる時間を短縮できる
OEMを利用すると、自分で工場を持たなくても化粧品が作れます。専門家が配合を考えてくれたり、必要な検査もしてくれたりするので、安心して製品化できるんです。
例えば、「うるおいたっぷりの乳液を作りたい!」と思ったら、OEM会社に相談。自分のイメージを伝えて、サンプルを作ってもらい、OK が出たら製造開始!という流れになります。
ただし、OEM会社選びは慎重に。品質や対応力、最小ロット数などをよく確認しましょう。信頼できるOEM会社を見つけることが、オリジナル化粧品ビジネス成功の第一歩です。
販売前の準備:ブランディングの整理
化粧品ができたら、すぐに売り出したくなりますよね。でも、ちょっと待って!売る前に大切な準備があります。それが「ブランディング」です。ブランディングとは、あなたの化粧品の魅力を伝える作戦を立てること。ここをしっかりやると、お客さんの心に響く商品になることが期待できます。
ターゲット:誰に使ってもらいたい?
「みんなに使ってほしい!」そう思うかもしれません。でも、実はそれは難しいんです。まずは、誰に一番使ってもらいたいか考えましょう。
- 年齢層(10代?30代?50代?)
- 性別(女性向け?男性向け?)
- 肌の悩み(乾燥肌?ニキビ肌?)
- 生活スタイル(忙しい人?こだわり派?)
例えば、「20代後半の、忙しくてスキンケアに時間をかけられない女性」というように具体的に決めると良いです。ターゲットが明確になると、商品開発や宣伝の方向性が見えてきます。
ターゲットが決まったら、その人たちの悩みや欲しいものをリサーチしましょう。SNSでの口コミを見たり、アンケートを取ったりするのも良い方法です。
ブランドコンセプト:何を伝える?
ブランドコンセプトは、あなたの化粧品の「らしさ」を言葉にしたものです。お客さんに「これ、私にピッタリ!」と思ってもらえるような言葉を見つけましょう。
ブランドコンセプトを作る手順
- 商品設計時の自分の想いを確認する(例:肌に優しい化粧品を作りたい)
- ターゲットの悩みや願望を考える(例:敏感肌でも安心して使えるものが欲しい)
- 1と2を組み合わせて、簡潔な言葉にする
- 例:「敏感肌の方も安心。優しさにこだわった自然派コスメ」
このコンセプトを元に、商品名やパッケージデザイン、広告の文言を考えていきます。一貫性を持たせることで、ブランドの印象が強くなります。
独自性:競合と差別化するポイント
たくさんの化粧品がある中で、なぜあなたの商品を選んでもらえるのか。それを明確にするのが「独自性」です。
- 特殊な成分(例:地元の特産品を使用)
- こだわりの製法(例:低温製法で栄養を逃がさない)
- ユニークなパッケージ(例:詰め替えやすい設計)
- 特別なサービス(例:肌診断付き)
自分の強みを3つくらい挙げてみましょう。それらを組み合わせると、他にはない魅力が見えてきます。
例:「地元の温泉水を使用」+「低刺激処方」+「詰め替えやすいエコボトル」 → 「地元の恵みを活かした、肌と地球に優しいスキンケア」
この独自性を、商品説明やSNSの投稿で積極的にアピールしていきましょう。
参考:経済産業省「ブランド価値評価研究会報告書」
販売方法を選ぼう:どうやって売る?
さあ、いよいよ販売開始です!でも、どうやって売ればいい?何から始めればいい?
実は、化粧品の売り方にはいろいろな方法があります。ここでは、個人や小さな会社でも始めやすい販売方法を紹介します。特に最初は、ECモールからの出品がおすすめ。初期費用が少なくて、たくさんのお客さんの目に留まりやすいんです。
ECモール:まずはここから
ECモールをご存知ですか?楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングなど、たくさんのお店が集まるネットショッピングの場所のことです。ここから始めるのがおすすめ!
- お店の開設が簡単
- 初期費用が少ない
- たくさんの人が見に来る
- 決済システムが整っている
例えば、Amazonなら「Amazonセラーセントラル」に登録するだけで出品開始できます。楽天市場は審査があるので少し大変ですが、その分、信頼度が高いです。
- 出品料や売上手数料がかかる
- 他の商品との競争が激しい
競争が激しいので、商品の特徴をしっかりアピールすることが大切です。写真や説明文を工夫して、お客さんの目を引くようにしましょう。
ECプラットフォーム:自分のお店を持とう
自分だけのネットショップを持ちたい!そんな時はECプラットフォームの出番です。BASE(ベイス)やShopify(ショッピファイ)などのサービスを使えば、簡単に自分のお店が作れます。
- お店のデザインを自由に決められる
- 独自ドメインが使える(例:www.あなたのブランド名.com)
- 顧客情報を自分で管理できる
- 集客は自分でする必要がある
- 決済システムの設定など、少し専門的な知識が必要
まずはECモールで経験を積んでから、自分独自のネットショップを開くのもいいかもしれません。お客さんが増えてきたら、ECモールと自分のお店、両方で販売するのが理想的です。
SNSを活用した販売
InstagramやFacebook、LINEを使って化粧品を売ることもできます。特に、若い人向けの商品ならSNS販売がおすすめ!
- 写真や動画を活用して商品の魅力を伝える
- フォロワーとのコミュニケーションを大切に
- 定期的に投稿して存在感をアピール
例えば、Instagramなら「ショッピング機能」を使って直接販売できます。LINEの公式アカウントを作れば、お客さんに新商品情報をすぐに知らせられます。
ただし、SNSだけでの販売は難しいかも知れません。ECモールやECプラットフォームと組み合わせるのがおすすめです。
実店舗・オフライン:リアルな場所で売ってみよう
最後に、実際のお店での販売方法です。初期費用が高いので、はじめからは難しいかもしれません。しかし、将来の選択肢として知っておくと良いです。
- 知り合いのサロン・整体院などで取り扱ってもらう
- 百貨店や専門店に卸す
- ポップアップストアを出す
ポップアップストアとは、期間限定で出すお店のこと。イベントや商業施設の一角を借りて、短期間だけ出店します。初期費用を抑えられるので、実店舗販売の入り口として人気です。
オフライン販売のいいところは、お客さんと直接話せること。商品の良さを直接伝えられるし、お客さんの反応もすぐわかります。ただし、場所代や人件費がかかるので、慎重に計画を立てましょう。
参考:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」
広告を作ろう:お客さんに商品を知ってもらおう
せっかく素敵な化粧品ができたのに、誰も知らなかったら売れませんよね。そこで大切になるのが「広告」です。広告を使って、たくさんの人にあなたの商品を知ってもらいましょう。でも、化粧品の広告には気をつけることがたくさんあります。ここでは、広告の基本から注意点まで、わかりやすく説明します。
広告って作らなきゃだめ?役割を知ろう
広告と聞くとテレビCMやチラシなどをイメージするかもしれませんが、それだけではありません。まずはあなたの商品がどういうものなのか説明するための画像や文章が必要です。これも立派な広告なんです。
- 商品の内容説明(効果、特徴、容量など)
- 商品を知ってもらう
- 商品の良さを伝える
- 買いたい気持ちを起こさせる
- ブランドの印象を作る
例えば、amazonや楽天などECモールの商品ページも広告の一種。写真や説明文で商品の魅力を伝えているからです。SNSの投稿も、フォロワーに商品を紹介していれば広告になります。
広告は、お客さんとあなたの商品を結ぶ架け橋。だから、とても大切なんです。
薬機法と景表法に注意
化粧品の広告を作る上で注意が必要なのが薬機法と景表法です。薬機法は医薬品や化粧品の広告を規制する法律で、景表法は広告全般のルールを定めた法律です。
- 効果を誇大に表現してはいけない
- 医薬品のような効能をうたってはいけない
- 事実と異なる表現を使ってはいけない
例えば、「シミが消える」「肌トラブルが治る」といった表現はNGです。代わりに「肌にツヤを与える」「肌トラブルを防ぐ」といった表現を使います。
参考:日本化粧品工業連合会「化粧品等の適正広告ガイドライン」
ガイドラインはありますが、訴求表現は無数に存在します。全ての訴求についてOK/NGが書かれているわけではありません。頑張って勉強したとしても、知らず知らずのうちに違反してしまうことが多々あります。そのため、広告コンテンツ作成にあたっては専門的な知識を持った人や企業に依頼するのが現実的です。
まずはECモール用の広告が必要
ECモールで販売を始めるにあたって、まず必要なのは商品を紹介するための画像や文章のコンテンツです。これらは「LP(ランディングページ)」と呼ばれる形式で作ることが多いです。
- 縦長のウェブページ
- 商品の特徴や使い方を網羅的に説明
- 写真やイラストを多用して視覚的に訴える
LPは、広告でありながら、商品の特徴や入っている成分、効果、使い方など、その商品に関する情報を全体的にまとめた存在です。
LPのいいところは、そのまま自社サイトに掲載でき、ECモール用としても活用できること。一度作れば、いろいろな場所で使えるんです。
- 目を引くヘッダー画像
- 商品の特徴を説明
- 使用前後の写真(薬機法が厳しいので注意!)
- お客さんの声
- よくある質問
プロに依頼するのが一番ですが、費用が心配な場合は、ウェブサイト作成サービスのテンプレートを使うのも手です。
SNS投稿にも活用できる
SNSは広告料無料で集客できるとても有益なツールです。これを使わない手はありません。4-3で作ったLPや画像などのコンテンツを転用して、投稿にも活用できます。
- 投稿は定期的に(週3回くらい)
- 写真や動画を積極的に使う
- ハッシュタグを効果的に使う(例:#スキンケア #美肌 など)
- フォロワーとコミュニケーションを取る
例えば、LPの一部を切り取って投稿したり、商品使用動画を撮影したりするのもいいですね。お客さんの使用感想を紹介するのも効果的です。(お客さんの体験談も薬機法/景表法を守る必要があるのでご注意を)
実店舗販売用のパンフレット
実店舗で販売する場合は、手に取って見られるパンフレットがあると便利です。LPの内容を元に、コンパクトにまとめましょう。
- 商品写真は大きく、きれいに
- 特徴は箇条書きでわかりやすく
- 使い方や成分表示も忘れずに
- 会社情報や問い合わせ先を明記
折りたたみ式にすれば、情報量も増やせます。お客さんが家に持ち帰って、じっくり読めるようにしましょう。
自分で作る?or外注する?
広告制作、何を自分でやって、何を外注すればいいか迷いますよね。ここでは、自分でできることと外注した方がいいことをまとめてみました。
自分でできること | 外注した方がいいこと |
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SNS投稿 | 画像・文章制作 |
ブログ記事作成 | プロの写真撮影 |
簡単なコンテンツ作成 | 動画制作 |
LPデザイン |
自分でできることは積極的に挑戦してみましょう。でも、重要な部分や専門的な技術が必要な部分は、やはりプロの力を借りるのが安心です。特に最初の広告は印象が大切なので、できる範囲で予算をかけることをおすすめします。
広告作りは大変そうに見えますが、一つずつ着実に進めていけば大丈夫。あなたの素敵な商品、たくさんの人に知ってもらいましょう!
まとめ
オリジナル化粧品の販売は、やりがいのある挑戦です。あなたのアイデアが形になり、多くの人に価値を提供できる – そんな素晴らしい機会があなたを待っています。一つひとつのステップを着実に進めていけば、必ず成果が出るはずです。最後に、重要なポイントをおさらいしましょう。
- 作ったオリジナル化粧品の売り方
- ブランディングを明確に:ターゲット、コンセプト、独自性を決める
- 効果的な広告を作成:商品の魅力を伝える画像や文章を用意する
- 個人でもできる!販売方法の種類
- ECモール:初めての方におすすめ。多くの人の目に触れやすい
- SNS販売:低コストで始められ、顧客とのコミュニケーションが取りやすい自社ECサイト:ブランドイメージを自由に表現できる
- 失敗しない!気をつけたい注意点
- 薬機法と景表法を遵守:誇大広告や医薬品的な効能表現は避ける
- 専門家のアドバイスを積極的に受ける:特に広告作成時は重要
自分で作った化粧品が多くの人に使ってもらえる。そんな目標に向かって今から動き出せます。新しい学びや課題もあるかもしれませんが、それらを乗り越えることで、きっとビジネスとしても人としても成長できるはずです。
引き続き、化粧品OEM開発を行うみなさまのお役に立つ情報を発信していきます!