売れる化粧品を作るのに一番大切なのは、消費者に愛される製品を作ることです。
特に、肌をしっかり保湿する成分を選ぶことは、売れる化粧品を作るにあたってとても重要です。
この記事では、化粧品をOEMで開発しようとしている方や、新しく化粧品事業を始めたいと考えている企業のご担当者様向けに、知っておくべき保湿成分について詳しく解説します。どんな成分がどのように肌に良いのか、そして効果的な組み合わせ方などをわかりやすく説明します。この記事を読めば、売れる化粧品を作るためのヒントが見つかるはずです。
さきりこ
大手メーカー化粧品研究員
開発した商品でベスコス受賞経験のある化粧品のプロ
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美容のキホン、おすすめ化粧品の紹介をしています。
保湿成分の基本
保湿成分とは、肌に水分を保持するか、外から水分を引き寄せて肌をしっとりさせるための成分です。
化粧品には様々な種類の保湿成分が使用されており、それぞれに独自の働きがあります。化粧品を開発する際にこれらの成分を選ぶことは、製品の効果に大きく影響します。
特に、OEM(Original Equipment Manufacturer)で化粧品を開発する場合、どの成分を選ぶかが製品の品質と顧客の満足度を左右するため、その基本を押さえておくことが重要です。
保湿成分とは何か?
保湿成分は主に、肌の表面に薄い保護膜を作って水分の蒸発を防ぐものと、空気中の水分を吸収して肌に保持するものの二つの働きをします。これらの成分は、乾燥から肌を守り、肌を柔らかくして健康な状態を維持するのに役立ちます。例えば、冬の寒い時期や、エアコンの効いた部屋にいるときなど、特に肌が乾燥しやすい状況では、保湿成分が非常に重要になります。
保湿成分は3種類
保湿成分は大きく分けて3つのカテゴリーに分類されます。
湿潤剤
湿潤剤は、肌に直接水分を与える成分です。代表的な成分には、グリセリンやヒアルロン酸があります。これらは水分を引き寄せて肌に留める働きをします。特にヒアルロン酸は、1gで約6リットルの水分を保持できると言われており、非常に高い保湿力を持っています。
水和剤
水和剤は、肌の角質層に浸透して水分を保持する成分です。代表的な成分には、セラミドやコラーゲンがあります。これらは肌の内部で水分を保持し、ふっくらとした肌を維持するのに役立ちます。特にセラミドは、肌のバリア機能を強化する効果もあり、敏感肌のケアに適しています。
閉塞剤
閉塞剤は、肌の表面に膜を作り、水分の蒸発を防ぐ成分です。代表的な成分には、ワセリンやシリコーンがあります。これらは肌にバリアを作り、水分が逃げないようにすることで、長時間の保湿効果を発揮します。
主な保湿成分一覧
では、化粧品に主に配合される保湿成分の一覧を示します。
成分 | カテゴリー | 効果 |
---|---|---|
グリセリン | 湿潤剤 | 肌に水分を引き寄せ、保湿効果を持続させる |
ヒアルロン酸 | 湿潤剤 | 高い保湿力で肌にうるおいを与え、水分を保持する |
プロピレングリコール | 湿潤剤 | 水分を保持し、なめらかな使用感にする |
尿素 | 湿潤剤 | 角質をやわらかくし、水分保持力を高める |
セラミド | 水和剤 | 隠そうに浸透し、バリア機能を強化する |
コラーゲン | 水和剤 | 肌に浸透し、うるおいと弾力を与える |
エラスチン | 水和剤 | 肌に弾力を与え、保湿効果を高める |
アロエベラ | 水和剤 | 保湿しながら肌を落ち着かせ、炎症を抑える |
ワセリン | 閉塞剤 | 肌表面に膜を作り、水分の蒸発を防ぐ |
シリコーン | 閉塞剤 | 軽い使用感で肌にバリアを作り、水分を保持する |
ミネラルオイル | 閉塞剤 | 肌表面に保護膜を作り、水分の蒸発を防ぐ |
スクワラン | 閉塞剤 | 肌にバリアを作り、柔軟性を保つ |
この表に示すのは、特に効果が高く、化粧品開発において広く使用されている保湿成分です。
しかし、これらはほんの一部に過ぎません。
化粧品業界では、日々新しい成分が研究され、より高い保湿効果や多機能性を持つ成分がどんどん登場しています。
また、天然由来の成分や、特定の肌悩みに対応した成分など、多様なニーズに応じた保湿成分が数多く存在します。
保湿成分の選び方
保湿成分の選定は、ターゲットの肌タイプ、使用目的、製品のコンセプト、そして成分の組み合わせによって大きく影響されます。ここでは、保湿成分の選び方について詳しく解説します。
ターゲットの肌タイプに合わせて選ぶ
保湿成分を選ぶ際には、まずターゲットとなる肌タイプを理解することが大切です。肌タイプによって必要な保湿成分は異なります。以下の表は、代表的な肌タイプとその特徴、適した保湿成分をまとめたものです。
肌タイプ | 特徴 | 適した保湿剤 |
---|---|---|
乾燥肌 | 皮脂分泌が少なく、肌がつっぱりやすい | ヒアルロン酸、グリセリン、セラミド |
脂性肌 | 皮脂分泌が多く、テカりやすい | プロピレングリコール、スクワラン |
敏感肌 | 刺激に弱く、赤みやかゆみが出やすい | セラミド、コラーゲン、アロエベラ |
混合肌 | Tゾーンはオイリー、Uゾーンは乾燥しやすい | ヒアルロン酸、スクワラン、グリセリン |
乾燥肌には、高い保湿力を持つヒアルロン酸やグリセリン、セラミドが適しています。オイリー肌には、軽い使用感で保湿効果があるプロピレングリコールやスクワランが良いでしょう。敏感肌には、刺激が少なく、バリア機能を強化するセラミドやコラーゲン、アロエベラがおすすめです。混合肌には、バランスよく保湿できる成分を選ぶと良いです。
使用目的に合わせて選ぶ
保湿成分を選ぶ際には、製品の使用目的を考慮することも重要です。日中用、夜用、季節ごとの使用など、目的に応じて適した成分があります。以下の表は、使用目的と適した保湿成分の組み合わせを示しています。
使用目的 | 特徴 | 適した保湿剤 |
---|---|---|
日中用 | 軽くてべたつかず、化粧の下地にも適している | プロピレングリコール、シリコーン |
夜用 | 長時間保湿を保ち、肌の修復を促す | ワセリン、ヒアルロン酸、セラミド |
夏用 | 軽い使用感で、汗や皮脂に強い | グリセリン、プロピレングリコール |
冬用 | 高保湿で、乾燥から肌を守る | ヒアルロン酸、ワセリン、セラミド |
日中用の保湿クリームには、軽くてべたつかないプロピレングリコールやシリコーンが適しています。夜用の保湿クリームには、長時間保湿を保ち、肌の修復を促すワセリンやヒアルロン酸、セラミドが良いでしょう。夏季用には、軽い使用感で汗や皮脂に強いグリセリンやプロピレングリコールが、冬季用には高保湿で乾燥から肌を守るヒアルロン酸やワセリン、セラミドが適しています。
コンセプトに合わせて選ぶ
製品のコンセプトに合わせて保湿成分を選ぶことも重要です。オーガニック志向、エイジングケア、美白効果など、コンセプトに応じて成分を選定します。
コンセプト | 特徴 | 保湿成分 |
---|---|---|
オーガニック志向 | 天然由来成分を使用し、肌に優しい | シアバター、アロエベラ、ホホバオイル |
エイジングケア | シワやたるみを防ぎ、若々しい肌を保つ | レチノール、ペプチド、コラーゲン |
美白効果 | メラニン生成を抑え、透明感のある肌を作る | ビタミンC誘導体、アルブチン |
高級感 | 高品質でリッチな使用感 | セラミド、スクワラン、シアバター |
オーガニック志向の製品には、天然由来で肌に優しいシアバターやアロエベラ、ホホバオイルが適しています。エイジングケア製品には、シワやたるみを防ぎ、若々しい肌を保つレチノールやペプチド、コラーゲンが推奨されます。美白効果を狙う製品には、メラニン生成を抑え、透明感のある肌を作るビタミンC誘導体やアルブチンが良いでしょう。高級感を重視する製品には、高品質でリッチな使用感のセラミドやスクワラン、シアバターが適しています。
成分の組み合わせも考える
保湿成分を効果的に組み合わせることで、製品の保湿力を最大限に引き出すことができます。以下の表は、代表的な成分の組み合わせとその効果を示しています。
組み合わせ | 効果 |
---|---|
グリセリン+ヒアルロン酸 | 高い保湿力で肌に潤いを与え、保湿を持続させる |
セミラド+コラーゲン | 角質層に浸透し、バリア機能を強化し、ふっくらとした肌を保つ |
ワセリン+シリコーン | 肌表面にバリアを作り、水分の蒸発を防ぎ、長時間保湿を保つ |
アロエベラ+ビタミンC誘導体 | 保湿しながら美白効果も期待できる |
グリセリンとヒアルロン酸の組み合わせは、高い保湿力で肌に潤いを与え、保湿を持続させます。セラミドとコラーゲンの組み合わせは、角質層に浸透し、バリア機能を強化し、ふっくらとした肌を保ちます。ワセリンとシリコーンの組み合わせは、肌表面にバリアを作り、水分の蒸発を防ぎ、長時間保湿を保つ効果があります。また、アロエベラとビタミンC誘導体の組み合わせは、保湿しながら美白効果も期待できるため、美容効果の高い製品を開発する際に適しています。
これらのポイントを考慮して、ターゲットのニーズや製品のコンセプトに合った保湿成分を選び、効果的に組み合わせることで、優れた保湿効果を持つ化粧品を開発することができます。
成功している保湿化粧品の事例
保湿成分を効果的に活用することで、消費者から高い評価を得ている化粧品ブランドが多数存在します。これから化粧品をOEMで開発しようと考えている個人や、新規事業として化粧品分野に進出する企業にとって、成功事例を参考にすることは非常に有益です。ここでは、日本の有名ブランドがどのような保湿成分を使用し、どのように成功しているのかを具体的な事例を挙げて紹介します。
資生堂「エリクシールスキンフィニッシャー」
資生堂の「エリクシール スキンフィニッシャー」は、高い保湿効果とスキンケア効果で多くの消費者に支持されています。この製品は、資生堂の先進的な研究に基づき開発され、特に保湿成分の選定と組み合わせが巧妙です。
この製品には、ヒアルロン酸とコラーゲンが主成分として使用されています。ヒアルロン酸は、水分保持力が非常に高く、肌に潤いを与えます。一方、コラーゲンは、肌にハリと弾力をもたらし、ふっくらとした質感を維持します。この二つの成分が組み合わさることで、長時間にわたり肌の乾燥を防ぎ、保湿効果が持続します。
さらに、エリクシール スキンフィニッシャーには、植物由来のエキスも配合されており、肌に優しい処方となっています。例えば、カミツレエキスやツボクサエキスなどが含まれ、これらの成分は抗炎症作用や肌の修復をサポートする効果があります。これにより、敏感肌の人でも安心して使用できる製品となっています。
エリクシール スキンフィニッシャーの成功の鍵は、高保湿成分と天然由来成分のバランスにあります。この製品は、消費者のニーズを的確に捉え、高品質な成分を効果的に組み合わせることで、卓越した保湿効果を実現しています。
花王「キュレル潤浸保湿フェイスクリーム」
花王の「キュレル 潤浸保湿フェイスクリーム」は、特に敏感肌の人々に向けた保湿クリームとして高い評価を得ています。キュレルシリーズは、肌に優しい成分と効果的な保湿力で知られています。
この製品の主成分は、セラミドとユーカリエキスです。セラミドは、肌のバリア機能を強化し、水分を保持する能力があります。これにより、乾燥から肌を守り、長時間潤いを保つことができます。ユーカリエキスは、保湿効果を高めるだけでなく、肌の炎症を抑える効果もあります。この組み合わせにより、敏感肌でも安心して使用できる保湿クリームが完成します。
また、キュレル 潤浸保湿フェイスクリームは、アルコールや香料を使用していないため、肌に負担をかけません。これも敏感肌のユーザーにとって大きな魅力となっています。さらに、クリームのテクスチャーは軽く、べたつかないので、使用後の快適さも高評価のポイントです。
キュレルの成功は、敏感肌向けの製品としての信頼性と効果にあります。保湿成分の選定において、肌に優しい成分を使用し、消費者のニーズに応えることで、多くの支持を得ています。
出典:https://www.kao-kirei.com/ja/item/kbb/curel/4901301236210/?tw=kbb
POLA「ホワイトショット RXS」
POLAの「ホワイトショット RXS」は、美白と保湿の両方の効果を持つ製品として、多くの女性に支持されています。この製品は、POLAの独自の美白技術と高保湿成分を組み合わせており、肌の透明感と潤いを同時に実現します。
ホワイトショット RXSには、ビタミンC誘導体とヒアルロン酸が配合されています。ビタミンC誘導体は、メラニンの生成を抑え、シミやそばかすを防ぐ効果があります。ヒアルロン酸は、高い保湿力で肌に潤いを与え、乾燥を防ぎます。この二つの成分が相互に作用し、美白と保湿の両方の効果を高めています。
さらに、この製品には、POLA独自の成分である「ルシノール」も含まれています。ルシノールは、メラニンの生成を抑えると同時に、肌のターンオーバーを促進し、健康な肌を維持する効果があります。これにより、継続的に使用することで、肌のトーンを均一に保ち、明るく透明感のある肌を実現します。
ホワイトショット RXSの成功は、美白と保湿の両方を追求した成分配合にあります。POLAの先進的な研究と高品質な成分の組み合わせが、多くの消費者に支持される理由です。
出典:https://www.pola.co.jp/ec/products/g-0955/
まとめ:保湿成分を知って化粧品OEM開発に活かそう
保湿成分は化粧品の効果を決定づける重要な要素です。適切な保湿成分を選び、効果的に組み合わせることで、高品質な製品を開発できます。
- 保湿成分は、肌の水分を保持し、乾燥を防ぐために重要。
- 主な保湿成分には、湿潤剤、水和剤、閉塞剤の3種類がある。
- ターゲットの肌タイプ、使用目的、製品のコンセプトに合わせて保湿成分を選ぶことが重要。
- 成分の組み合わせによって、効果を最大限に引き出すことができる。
- 成功している保湿化粧品の事例から学び、効果的な成分配合を取り入れることで、製品の品質を向上させられる
引き続き、化粧品開発・販売を行うみなさまのお役に立つ情報を発信していきます!