要注意!化粧品開発で絶対にNGな8つの表現┃薬機法・景表法

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Minimum Pharmaceutical and Machinery Law/Appearance Law

化粧品ビジネスを始める際、製品開発と販売戦略だけでなく、法律の知識も不可欠です。特に重要なのが「薬機法」と「景表法」。これらの法律を知らずに事業を進めると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。本記事では、化粧品OEM開発や販売に携わる方々に向けて、薬機法と景表法の基本知識と注意点を分かりやすく解説します。法令遵守の重要性を理解し、安全で信頼される化粧品ビジネスを展開しましょう。

この記事を書いた人

さきりこ

大手メーカー化粧品研究員
開発した商品でベスコス受賞経験のある化粧品のプロ
成分にもとづいた「賢いキレイ」を届けるため、本サイト「myロットコスメ」で情報発信中!
美容のキホン、おすすめ化粧品の紹介をしています。

目次

なぜ化粧品OEM開発に法律の知識が必要?

化粧品は規制が厳しいビジネスジャンルです。
多くの起業家や新規参入企業が見落としがちなのが法律の重要性です。
以下、化粧品OEM開発にあたり法律知識を身につけるべき理由を詳しく解説します。

守らないと自社が罰せられる

「化粧品OEMは製造会社が責任を負ってくれるんじゃないの?」と思っている方がいます。
OEM先がどこまで責任を負ってくれるのかは契約内容によるので一概には言えませんが、企画・販売を行う自社にも責任があります。
特に、広告まわりの責任については自社が負うことが多いです。
以下に、法律違反によって販売者が直面する可能性のあるリスクを挙げます:

  • 行政処分:商品の販売停止や回収命令
  • 罰金:違反の程度に応じて高額な罰金が科される
  • 懲役刑:悪質な違反の場合、懲役刑に処される可能性もある
  • 社会的信用の失墜:違反が公表されることで、企業イメージが大きく損なわれる
  • 損害賠償:消費者や取引先から訴訟を起こされる可能性がある

これらのリスクは、事業の継続に大きな影響を与えるだけでなく、個人の生活にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。そのため、法律知識を持ち、遵守することが極めて重要なのです。

OEM先は広告までは関わってくれない

OEM先は製造、パッケージの表示作成までを行い、その先の販売戦略には関与しないケースが多いです。
以下の表は、一般的なOEM開発における責任分担を示しています:

項目OEM先の責任販売者の責任
製品開発
品質管理
パッケージデザイン
広告・宣伝×
法令遵守

○:主な責任者 △:一部関与 ×:関与なし

広告や宣伝に関しては、ほぼ全て販売者の責任となります。OEM先は製品の品質や安全性については責任を持ちますが、その製品をどのように宣伝し、販売するかについては関与しません。つまり、広告や表示に関する法律知識は、販売者自身が持っていなければならないのです。

知らないとほぼ確実に違反する

法律知識がないまま化粧品ビジネスを始めると、知らず知らずのうちに違反してしまう可能性が非常に高くなります。その理由は以下の通りです:

  • 化粧品に関する法規制が複雑で多岐にわたる
  • 一般的な感覚と法律上の規制に大きな隔たりがある
  • SNSやインフルエンサーマーケティングなど、新しい広告手法に対する規制も存在する
  • 効果や成分に関する表現に細かい制限がある
  • 業界特有の慣習や暗黙のルールが存在する

例えば、「シミが消える」「肌トラブルが治る」といった表現は、効果が明らかな製品でも使用できません。また、「永久脱毛」「完全無添加」など、絶対的な表現も避けなければなりません。
これらの規制を知らずに広告を作成すると、ほぼ確実に違反してしまいます。そのため、事業を始める前に、しっかりと法律知識を身につけることが不可欠なのです。

薬機法とは?

薬機法は、正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。この法律は、医薬品や医療機器、そして化粧品の品質、有効性、安全性を確保することを目的としています。化粧品業界に携わる人にとって、薬機法の理解は非常に重要です。なぜなら、この法律は化粧品の製造から販売、広告に至るまで幅広く規制しているからです。

対象になる商品

薬機法が対象とする商品は幅広く、私たちの日常生活に密接に関わるものが多く含まれています。化粧品に関連する主な対象商品は以下の通りです:

薬機法の対象商品
  • 化粧品
  • 医薬部外品
    • 薬用化粧品(美白クリーム、ニキビケア製品など)
    • 育毛剤、染毛剤
    • 制汗剤、デオドラント製品
  • 医薬品
    • 医療用医薬品(処方箋が必要な薬)
    • 一般用医薬品(市販薬)
  • 医療機器
    • 家庭用マッサージ器
    • コンタクトレンズ
    • 電動歯ブラシ
  • 再生医療等製品

化粧品ビジネスに関わる場合、特に注意が必要なのは「化粧品」と「医薬部外品」の区分です。これらは見た目や使用感が似ていても、法律上の取り扱いが大きく異なります。例えば、美白効果を謳う製品は医薬部外品として扱われ、化粧品よりも厳しい規制を受けます。

対象になる広告・コンテンツ

薬機法は、商品そのものだけでなく、その広告やコンテンツについても厳しく規制しています。以下の表は、薬機法が対象とする主な広告・コンテンツとその特徴をまとめたものです。

広告・コンテンツの種類対象となるか主な規制内容
テレビCM効能効果の表現制限、医薬品的な表現の禁止
新聞・雑誌広告承認を受けていない効能効果の表示禁止
ウェブサイト虚偽・誇大広告の禁止、医薬品的な表現の禁止
SNS投稿広告目的の投稿は規制対象、誇大表現の禁止
製品パッケージ定められた表示事項の記載義務、虚偽表示の禁止
店頭POPやチラシ効能効果の表現制限、比較広告の規制
口コミサイトの投稿事業者が関与する場合は規制対象
インフルエンサーの投稿広告目的の場合は規制対象

○:完全に対象 △:状況により対象

この表からわかるように、ほぼすべての広告媒体が薬機法の規制対象となります。特に注意が必要なのは、近年急速に普及しているSNSやインフルエンサーマーケティングです。これらは一見、規制の対象外に思えるかもしれませんが、事業者が関与している場合は広告として扱われ、規制の対象となります。

禁止されていること

薬機法では、消費者の安全を守り、公正な競争を確保するために、いくつかの行為を明確に禁止しています。化粧品ビジネスに携わる人が特に注意すべき禁止事項は以下の通りです:

薬機法で禁止されていること概要
  • 虚偽・誇大広告
  • 医薬品的な効能効果の標ぼう
    • 化粧品に医薬品のような効果があると誤解させる表現
    • 例:「アトピーを治す」「がんを予防する」など
  • 承認を受けていない効能効果の表示
    • 厚生労働省が認めていない効果を謳うこと
    • 例:化粧品で「美白効果」を謳う(美白は医薬部外品の効能)
  • 医師、薬剤師等の推奨の表示
    • 医療従事者が特定の製品を推奨しているかのような表現
    • 例:「○○医師も絶賛!」「薬剤師おすすめ」など
  • 比較広告の制限

これらの禁止事項に違反すると、業務停止や罰金など厳しい処分を受ける可能性があります。また、消費者からの信頼を失うことにもなりかねません。そのため、広告やコンテンツを作成する際は、常に薬機法の規制を念頭に置き、慎重に表現を選ぶ必要があります。
薬機法を正しく理解し、遵守することは、消費者の安全を守るだけでなく、自社のブランド価値を高め、持続可能なビジネスを展開する上で非常に重要です。

景表法とは?

景表法は、正式名称を「不当景品類及び不当表示防止法」といいます。この法律は、消費者が商品やサービスを選ぶ際に、正しい情報に基づいて選択できるようにすることを目的としています。景表法は、過大な景品の提供や、誤解を招くような広告・表示を規制しています。化粧品業界でも、この法律を守ることが非常に重要です。景表法に違反すると、消費者庁から措置命令や課徴金納付命令を受ける可能性があります。適切な広告や表示を行うことで、消費者との信頼関係を築き、健全なビジネスを展開することができます。

対象になる商品

景表法は、非常に幅広い商品やサービスを対象としています。化粧品ビジネスに関わる人にとって重要な対象商品は以下の通りです:

景表法の対象商品(化粧品・サプリ関係)
  • 化粧品全般
  • 医薬部外品
    • 薬用化粧品(美白クリーム、ニキビケア製品など)
    • 育毛剤、染毛剤
    • 制汗剤、デオドラント製品
  • 美容機器
    • 美顔器
    • 脱毛器
    • マッサージ器
  • 美容サービス
    • エステティックサービス
    • ネイルサロンサービス
    • 脱毛サロンサービス
  • 健康食品・サプリメント

景表法は、これらの商品やサービスの広告や表示について、消費者に誤解を与えないよう規制しています。例えば、化粧品の効果を過度に強調したり、実際には含まれていない成分を表示したりすることは禁止されています。
また、景表法は商品そのものだけでなく、その商品に関連するキャンペーンや販促活動も規制の対象としています。例えば、過大な景品の提供や、誤解を招くような割引表示なども規制の対象となります。

対象になる広告・コンテンツ

景表法が対象とする広告・コンテンツは多岐にわたります。以下の表は、主な広告・コンテンツの種類と、景表法における規制の対象となるかどうか、そしてその主な規制内容をまとめたものです。

景表法が対象とする広告・コンテンツは多岐にわたります。以下の表は、主な広告・コンテンツの種類と、景表法における規制の対象となるかどうか、そしてその主な規制内容をまとめたものです。

広告・コンテンツの種類対象となるか主な規制内容
テレビCM虚偽・誇大な表現の禁止、商品の効果や性能の誤認防止
新聞・雑誌広告不当な価格表示の禁止、比較広告の規制
ウェブサイト打消し表示の適切な記載、不実証広告の禁止
SNS投稿事業者が関与する場合は規制対象、ステルスマーケティングの禁止
製品パッケージ原産国の不当表示禁止、成分・原材料の虚偽表示禁止
店頭POPやチラシセール価格の適正表示、数量限定表示の適正化
口コミサイトの投稿事業者が関与する場合は規制対象、やらせレビューの禁止
インフルエンサーの投稿広告目的の場合は規制対象、ステルスマーケティングの禁止
カタログ通販送料等の付帯費用の明示、返品特約の表示
ラジオCM商品の効果や性能の誤認防止、不当な価格表示の禁止

○:完全に対象 △:状況により対象

この表からわかるように、ほぼすべての広告媒体が景表法の規制対象となります。特に注意が必要なのは、近年急速に普及しているSNSやインフルエンサーマーケティングです。これらは一見、規制の対象外に思えるかもしれませんが、事業者が関与している場合は広告として扱われ、規制の対象となります。
また、景表法は「表示」を幅広く定義しており、文字や写真だけでなく、イラストや音声、動画なども含まれます。さらに、商品の包装や容器、価格表、展示物なども「表示」に含まれます。

禁止されていること

景表法では、消費者の適切な商品選択を妨げる可能性のある表示や行為を禁止しています。化粧品ビジネスに携わる人が特に注意すべき禁止事項は以下の通りです:

景表法で禁止されていること概要
  • 優良誤認表示
  • 有利誤認表示
    • 商品やサービスの価格や取引条件を実際よりも著しく有利だと誤認させる表示
    • 例: • 「通常価格10,000円のところ、90%OFFの1,000円!」(実際には通常価格で販売していない) • 「業界最安値!」(客観的な根拠がない)
  • 不当な表示
    • その他、消費者に誤解を与えるおそれのある表示
    • 具体例: • 原産国の不当表示(「フランス製」と表示しているが、実際は国内製造) • 成分・原材料の虚偽表示(含有していない成分を表示する) • 「永久」「完全」などの絶対的表現の使用(「永久脱毛」「完全無添加」など)
  • 不当な二重価格表示
    • 実際の販売価格と比較対照価格を不適切に表示すること
    • 例:「メーカー希望小売価格5,000円のところ、3,000円」(実際にはメーカー希望小売価格が設定されていない)
  • ステルスマーケティング

これらの禁止事項に違反すると、消費者庁から措置命令や課徴金納付命令を受ける可能性があります。また、消費者からの信頼を失い、ブランドイメージを大きく損なう恐れもあります。
景表法を遵守するためには、以下の点に注意が必要です:

  • 広告や表示の内容が客観的な事実や科学的根拠に基づいていることを確認する
  • 価格表示や割引率の計算が適切であることを確認する
  • 「永久」「完全」などの絶対的表現を避け、効果や性能を適切に表現する
  • 広告であることを明確に示し、ステルスマーケティングを避ける
  • 比較広告を行う場合は、公正な基準で比較し、根拠を明示する

これだけはおさえて!薬機法&景表法を守る8つのポイント

化粧品広告においては、薬機法だけでなく景表法も同時に守る必要があります。
ここが、化粧品広告の表示ルールを難しくしている一つの理由です。
そこで以下では、薬機法と景表法を俯瞰して、「結局何がNGなの?」という視点でポイントを整理します。これらのポイントを押さえることで、適切な製品開発と広告展開が可能になります。それぞれの項目について、具体的な例を挙げながら詳しく説明していきましょう。

効果は56項目内のみ

化粧品の効能効果の表現は、厚生労働省が定めた56項目の範囲内でのみ許可されています。これは、消費者に誤解を与えないようにするためです。以下に、許可されている効能効果の一部と、許可されていない表現の例を示します。

許可されている効能効果の例
  • 肌を整える
  • 肌のキメを整える
  • 皮膚をすこやかに保つ
  • 肌を清浄にする
  • 肌を滑らかにする
  • 皮膚にうるおいを与える
  • 皮膚の水分・油分を補い保つ
  • 皮膚の柔軟性を保つ
  • 皮膚を保護する
  • 皮膚の乾燥を防ぐ
許可されていない表現の例
  • シミを消す
  • 毛穴を引き締める
  • ニキビを治す
  • 肌トラブルを改善する
  • 皮膚の再生を促進する
  • アトピー性皮膚炎に効果がある
  • セルライトを除去する
  • 血行を促進する
  • むくみを解消する

これらの56項目以外の効果を謳うと、薬機法違反となる可能性があります。例えば、「シワを改善する」という表現は許可されていませんが、「乾燥による小ジワを目立たなくする」という表現は、特定の条件下で許可されています。

生きた細胞への効果訴求はNG

化粧品の広告や表示において、生きた細胞への直接的な効果を訴求することは禁止されています。これは、そのような効果を謳うことが医薬品的な印象を与え、消費者に誤解を与える可能性があるためです。

化粧品の効果訴求が許されるのは「角層」つまり「死んだ細胞」までです。
以下の表は、生きた細胞への効果訴求に関する具体的なNG例と、代替表現の例を示しています:

化粧品の広告や表示において、生きた細胞への直接的な効果を訴求することは禁止されています。これは、そのような効果を謳うことが医薬品的な印象を与え、消費者に誤解を与える可能性があるためです。

以下の表は、生きた細胞への効果訴求に関する具体的なNG例と、代替表現の例を示しています:

NG表現理由代替表現の例
コラーゲンを生成する細胞機能への直接作用を示唆うるおいを与え、ハリのある肌に導く
メラニンの生成を抑制色素細胞への作用を示唆健やかでみずみずしい肌に導く
細胞の代謝を活性化細胞機能への直接作用を示唆肌本来の力に着目し、いきいきとした印象に
幹細胞を活性化幹細胞への作用を示唆肌にハリと弾力を与える
DNAの修復を促進遺伝子レベルの作用を示唆肌を保護し、健やかに保つ
脂肪細胞を分解脂肪細胞への作用を示唆すっきりとした印象の肌に導く
毛根を強化毛根細胞への作用を示唆健やかな頭皮環境をサポート
神経細胞を鎮静化神経細胞への作用を示唆肌に潤いを与え、やさしくケア
皮膚細胞の再生を促進細胞再生への直接作用を示唆肌を整え、なめらかな印象に
線維芽細胞を活性化特定の細胞への作用を示唆肌にハリを与え、弾力のある印象に

医学的な表現はNG

化粧品の広告や表示において、医学的な表現を使用することは禁止されています。これは、化粧品を医薬品と混同させる可能性があり、消費者に誤解を与える恐れがあるためです。
以下の表は、医学的表現のNG例とその理由、そして適切な代替表現を示しています:

化粧品の広告や表示において、医学的な表現を使用することは禁止されています。これは、化粧品を医薬品と混同させる可能性があり、消費者に誤解を与える恐れがあるためです。

以下の表は、医学的表現のNG例とその理由、そして適切な代替表現を示しています:

NG例NG理由代替表現
皮膚炎を治す医療行為を示唆している乾燥しがちな肌をケアする
アトピー性皮膚炎に効く特定の疾患への効果を謳っている敏感肌でも使える
ニキビを治療する医療行為を示唆している肌荒れをケア
抗炎症作用がある薬理作用を示唆している肌を整え、すこやかに保つ
血行を促進する体内機能への作用を示唆しているマッサージによる血行促進
ホルモンバランスを整える内分泌系への作用を示唆している肌本来の健やかさをサポート
免疫力を高める免疫系への作用を示唆している肌を健やかに保つ
皮膚再生を促進する医療的な効果を示唆している肌をなめらかに整える
傷を治す医療行為を示唆している肌を保護し、すこやかに保つ
アレルギーを抑える医学的な効果を示唆している敏感な肌にもやさしくなじむ

効果の保証はNG

化粧品の広告や表示において、効果を100%保証するような表現は禁止されています。これは、個人差や使用環境によって効果が異なる可能性があるためです。効果の保証を避けることで、消費者に誤解を与えず、薬機法や景表法に違反するリスクを減らすことができます。
以下の表は、効果の保証に関するNG例とその理由、そして適切な代替表現を示しています:

NG例NG理由代替表現
確実に効果が出る効果の絶対的保証多くの方にご満足いただいております
絶対にニキビができない効果の絶対的保証ニキビを防ぎます(医薬部外品の場合)
100%シワが改善される効果の数値的保証乾燥による小じわが目立ちにくくなります(認められている場合のみ)
誰でも必ず効果が出る個人差を無視した保証多くの方に好評をいただいています
2週間で劇的に変わる短期間での劇的な効果保証継続使用により、徐々に効果実感が期待できます
完璧な美白を実現完璧な効果の保証透明感のある肌に導きます(一般化粧品の場合)
どんな肌質でも効く全ての人への効果保証さまざまな肌質の方にお使いいただけます
一度の使用で効果絶大即効性の保証使うたびに肌が整う感覚を体験下さい
リスクゼロで安心絶対的な安全性の保証厳選した成分を使用しています

効果には個人差があることを示唆し、科学的根拠に基づいた表現を心がけましょう。

最高、日本初、抜群はNG

化粧品の広告や表示において、「最高」「日本初」「抜群」などの絶対的な表現や、客観的な根拠が示しにくい表現を使用することは避けるべきです。これらの表現は、消費者に誤解を与える可能性があり、景表法違反のリスクがあります。
以下の表は、このような表現のNG例とその理由、そして適切な代替表現を示しています:

NG例NG理由代替表現
最高の美白効果客観的な証明が困難美白効果が期待できる(医薬部外品の場合)
日本初の美容成分事実確認が困難新開発の美容成分配合
抜群の保湿力主観的な表現優れた保湿力
世界No.1のアンチエイジング効果客観的な評価基準が不明確高い評価を得ているエイジングケア(年齢に応じたお手入れの注釈必要)
業界最高峰の技術比較対象が不明確先端技術を活用
史上最強の美容液誇大表現濃密美容成分配合の美容液
完璧な仕上がり主観的かつ絶対的な表現なめらかで美しい仕上がり
奇跡の美肌効果科学的根拠が不明確肌本来の美しさをサポート
永久的な効果長期的な効果の保証が困難長時間持続する効果
究極のエイジングケア主観的かつ誇大な表現総合的なエイジングケア(年齢に応じたお手入れの注釈必要)

使用する表現には科学的な根拠や調査結果などの裏付けがあることが望ましいです。消費者に誤解を与えない、適切な表現を心がけることで、信頼性の高い広告や表示を作成することができます。

他社との比較はNG

化粧品の広告や表示において、他社製品との直接的な比較や、他社を貶めるような表現を使用することは避けるべきです。これらの表現は、不公平な競争を助長し、景表法違反のリスクがあります。また、消費者に誤解を与える可能性もあります。
以下の表は、他社との比較に関するNG表現と、その理由、そして代替表現の例を示しています:

NG例NG理由代替表現
A社の製品より効果が高い特定の競合他社との直接比較高い効果が期待できる独自処方
市販の化粧水とは比べ物にならない保湿力不特定の他社製品を貶める表現優れた保湿力を実現
従来品の2倍の美白効果具体的な数値での比較さらに向上した美白効果(医薬部外品の場合)
他社製品には含まれていない成分配合他社製品の内容に言及独自の成分を配合
B社の商品は危険な成分を使用している他社製品を誹謗中傷〇〇成分フリー
業界最高レベルの美容効果客観的な評価基準が不明確高い美容効果を追求
一般的な化粧品では得られない効果不特定の他社製品を間接的に貶める独自技術による効果
C社の商品の欠点を克服特定の競合他社製品の欠点に言及お客様の声を反映した改良
他のブランドでは実現できない美しさ不特定の他社製品を貶める表現独自の美しさを追求
D社製品の2倍のコスパ特定の競合他社との価格比較お求めやすい価格で高品質を実現

比較広告を行う場合は、公正な基準に基づき、根拠を明示する必要があります。また、他社を貶めるのではなく、自社製品の優れた点にフォーカスした表現を心がけましょう。
消費者に誤解を与えない、フェアな広告表現を使用することで、信頼性の高い広告や表示を作成することができます。また、法令遵守の観点からも、他社との不適切な比較は避けるべきです。

医師、薬剤師、美容師のおすすめはNG

化粧品の広告や表示において、医師、薬剤師、美容師などの専門家による推奨や保証を示唆する表現を使用することは避けるべきです。これらの表現は、消費者に医薬品と誤認させる可能性があり、薬機法違反のリスクがあります。また、特定の資格や身分を持つ者による推奨は、消費者に過度の期待を抱かせる可能性があります。
以下の表は、専門家の推奨に関するNG表現と、その理由、そして代替表現の例を示しています:

NG例NG理由代替表現
皮膚科医も絶賛医療従事者による推奨示唆肌の専門家も絶賛
薬剤師が開発に携わった医薬品との誤認を招く専門家の意見を参考に開発
薬学科出身のプロも愛用特定の職業による推奨示唆多くの方に選ばれています
医師推薦の美容液医療従事者の関与を強調敏感肌に配慮した処方
○○先生が認めた効果特定の専門家による効果の保証サイエンスから生まれた配合
美容外科が選ぶNo.1客観性に欠ける評価高い評価をいただいています
皮膚科クリニック採用医療機関での使用を示唆敏感肌が使えることにこだわった製品
トップヘアスタイリストが太鼓判特定の職業による推奨示唆美しい髪へ導くケア製品
医学博士が認める美白効果医学的効果の示唆美白*に着目した処方(*効能評価試験済み)

専門家の意見や科学的根拠を参考にしたことは伝えられますが、特定の専門家や職業による直接的な推奨は避けるべきです。
代わりに、以下のような方法で製品の信頼性や品質を伝えることができます:

違反を避けた信頼性の表現方法
  • 科学的な研究結果や効能評価試験の結果を引用する
  • 使用者の満足度調査結果を示す
  • 製品開発における安全性への配慮を説明する
  • 独自の技術や処方について詳しく説明する

美白、育毛、ニキビは医薬部外品のみ

化粧品の広告や表示において、「美白」「育毛」「ニキビ」などの効果を謳うことは、医薬部外品としての承認を受けた製品のみに許可されています。これは、これらの効果が薬機法上の「医薬品的な効能効果」に該当するためです。一般の化粧品でこれらの効果を謳うことは薬機法違反となるため、注意が必要です。
以下の表は、一般化粧品でのNG表現と、その理由、そして医薬部外品や一般化粧品での代替表現の例を示しています:

NG例(一般化粧品の場合)NG理由代替表現(医薬部外品)代替表現(一般化粧品)
美白効果抜群美白は医薬部外品の効能メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐみずみずしい肌に導く
育毛を促進育毛は医薬部外品の効能発毛を促進し、脱毛の進行を予防する健やかな頭皮環境をサポート
ニキビを撃退ニキビケアは医薬部外品の効能にきびを防ぐ皮脂による肌荒れを防ぐ
シミを消す美白は医薬部外品の効能メラニンの生成を抑え、日やけによるシミ・そばかすを防ぐみずみずしい肌に導く
薄毛を改善育毛は医薬部外品の効能育毛を促進し、脱毛の進行を予防する健やかな頭皮に導く
ニキビ跡を改善ニキビケアは医薬部外品の効能にきびを防ぐなめらかな肌に整える
美白美容液美白は医薬部外品の効能薬用美白美容液透明感*美容液(*うるおった肌印象の注釈必要)
育毛剤育毛は医薬部外品の効能薬用育毛剤頭皮ケア美容液
ニキビ用化粧水ニキビケアは医薬部外品の効能薬用抗菌化粧水皮脂ケア化粧水
シミ・そばかすを防止美白は医薬部外品の効能メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ健やかで明るい印象の肌に導く

一般化粧品の場合、直接的な効能効果の表現は避け、肌や頭皮の状態を表現する言葉を使用しましょう。
医薬部外品として承認を受けた製品の場合は、承認された効能効果の範囲内で表現することができます。ただし、承認された効能効果を逸脱した表現や誇大広告は避ける必要があります。

取るべき対策

化粧品開発・販売において薬機法や景表法を遵守するためには、具体的な対策を講じることが重要です。これらの法律は複雑で、解釈が難しい部分もあるため、必要に応じて専門家に相談することも必要です。
以下では、法令遵守のために取るべき主な対策を3つ紹介します。
それぞれの対策について、具体的な方法や注意点を詳しく説明していきます。

ガイドラインを読む

薬機法や景表法を正しく理解し、遵守するためには、まずは関連するガイドラインをよく読むことが必要です。これらのガイドラインは、法律の解釈や適用方法について詳細な説明を提供しており、実務に即した形で情報をまとめています。
以下は、化粧品開発・販売に関連する主要なガイドラインです:

主要なガイドライン


これらのガイドラインを読む際の注意点:

  • 最新版を参照する:法改正や社会情勢の変化に伴い、ガイドラインも定期的に更新されます。
  • 関連する事例や解説を確認:具体的な事例や解説を通じて、法律の実際の適用方法を理解します。
  • 自社製品に関連する部分を重点的に:自社の製品カテゴリーや広告手法に関連する部分を特に注意深く読みます。
  • 不明点はメモを取る:理解が難しい部分や疑問点はメモを取り、後で専門家に確認します。

ガイドラインを読むことで、法律の具体的な適用方法や注意点を理解し、自社の製品開発や広告戦略に適切に反映させることができます。定期的にガイドラインを見直し、最新の規制動向を把握することも重要です。

チェックツールの利用

薬機法や景表法に違反しないよう、広告や製品表示をチェックするためのツールを活用することも選択肢の一つです。これらのツールを使用することで、人的ミスを減らし、効率的に法令遵守を実現することができます。
以下は、主なチェックツールとその特徴です:

主なチェックツールの例
  • 広告表現チェックリスト
    • 形式:エクセルシートやウェブアプリ
    • 機能:一般的な違反事例や注意点をリスト化し、各項目をチェックできる
    • 利点:簡単に使用でき、基本的な違反を防ぐことができる
  • AI搭載の文言チェックツール
    • 形式:ソフトウェアやクラウドサービス
    • 機能:AIが広告文言を分析し、潜在的な違反や問題点を指摘する
    • 利点:人間が見落としがちな微妙な表現も検出できる
  • 業界団体提供のセルフチェックシステム
    • 形式:オンラインシステム
    • 機能:業界特有の規制や慣例に基づいたチェックが可能
    • 利点:業界の最新動向を反映した精度の高いチェックができる

チェックツールを効果的に活用するためのポイント:

  • 定期的な更新:法改正や新しい判例を反映するため、ツールを定期的に更新する
  • 複数のツールの併用:異なる視点からのチェックを行うため、複数のツールを併用する
  • 人間による最終確認:ツールの結果を鵜呑みにせず、必ず人間が最終確認を行う
  • カスタマイズ:自社の製品特性や広告戦略に合わせて、チェック項目をカスタマイズする
  • 使用トレーニング:社内でツールの使用方法や結果の解釈に関するトレーニングを実施する

これらのチェックツールを適切に活用することで、法令遵守の精度を高め、リスクを最小限に抑えることができます。ただし、ツールはあくまでも補助的なものであり、最終的な判断は人間が行う必要があることを忘れないでください。

専門家への相談

薬機法や景表法は複雑で、解釈が難しい場合があります。特に、新しい製品や革新的な広告手法を採用する際には、法的リスクを正確に評価することが重要です。そのため、専門家への相談は非常に有効な対策となります。

専門家に相談する際のポイント
  • 事前準備:相談内容を整理し、必要な資料を用意する
  • 具体的な質問:抽象的な質問ではなく、具体的なケースについて相談する
  • 複数の意見:重要な案件では、複数の専門家の意見を聞く
  • 継続的な関係:定期的に相談することで、最新の動向を把握する
  • 社内での共有:得られたアドバイスを社内で共有し、全体の理解を深める

専門家への相談は、単に法的リスクを回避するだけでなく、業界の動向や最新の解釈を学ぶ機会にもなります。これにより、より戦略的な製品開発や広告展開が可能になります。ただし、最終的な判断と責任は自社にあることを忘れず、専門家のアドバイスを参考にしつつ、自社の方針を明確に持つことが重要です。

まとめ

化粧品業界で成功を収めるためには、優れた製品開発と効果的なマーケティング戦略だけでなく、法律の理解と遵守が不可欠です。特に重要なのが「薬機法」と「景表法」という2つの法律です。

この記事のまとめ
  • 効能効果は厚生労働省が定めた56項目内に限定
  • 生きた細胞への効果訴求は禁止
  • 医学的表現の使用は避ける
  • 効果の絶対的保証は禁止
  • 「最高」「日本初」などの絶対的表現は避ける
  • 他社製品との直接比較は避ける
  • 医師などの専門家による推奨表現は避ける
  • 美白、育毛、ニキビケアは医薬部外品のみ可能

これらの法律を遵守するためには、以下の対策が有効です:

  • 関連ガイドラインの熟読
  • チェックツールの活用
  • 専門家への相談

化粧品ビジネスは消費者の美と健康に直接関わる重要な分野です。法令を遵守しながら、安全で効果的な製品を提供することで、消費者からの信頼を得て、ブランド価値を高めていくことができるでしょう。

引き続き、化粧品開発・販売を行うみなさまのお役に立つ情報を発信していきます。

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この記事を書いた人

大手メーカー化粧品研究員
開発した商品でベスコス受賞経験のある化粧品のプロ
成分にもとづいた「賢いキレイ」を届けるため、本サイト「myロットコスメ」で情報発信中!
美容のキホン、おすすめ化粧品の紹介をしています。

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