化粧品と健康食品。どちらもOEM製造ができる商材として知られていますが、その広告ルールには違いがあるのをご存知ですか?化粧品の広告では使えない表現が、健康食品では問題なく使えることがあるのです。
このブログでは、化粧品ではNGだけど、サプリなどの健康食品ではOKな表現を紹介します。
特に、サプリメントやプロテインなどの栄養補助食品のOEM開発を考えている方は要チェックの内容です。
商品を作る前に、どんな特徴をアピールできるか知っておくことが大切です。これにより、お客様の心に強く響く魅力を持った商品を作り出せる可能性が高まります。
具体的には次の6つが化粧品ではNG、健康食品ではOKな表現です。
- 他社との比較
- 安心・安全
- 特許
- 医師の推薦・共同研究
- 大学との共同研究
- 臨床データ
さきりこ
大手メーカー化粧品研究員
開発した商品でベスコス受賞経験のある化粧品のプロ
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化粧品ではNG┃健康食品ではOKな広告表現
化粧品と健康食品はどちらも広告表現が法律によって規制されています。
しかし、それぞれを規制する法律は異なります。
そのため、化粧品の広告では使えない表現が、健康食品では問題なく使えることがあるのです。
化粧品の広告ではNGだけど、健康食品の広告では使えるいくつかの表現方法を見ていきましょう。
他社との比較
化粧品では他社との比較は禁止されています。
例えば次のような表現はNGです。
- 他社A、他社Bよりも高配合
- 他社A △、他社B ×、自社◎
- 他社では真似できない配合です
- この効果を実現できるのは自社だけ
- 成分〇〇を含有していません
他社との直接的な比較はもちろん、他社が使っている成分〇〇を含有していない、という表現も他社の誹謗に当たるとして禁止されています。
一方、サプリやプロテインなどの健康食品では他社との比較はOKとされています。
表現できる例:
項目 | A社 | B社 | 自社 |
---|---|---|---|
総合評価 | △ | △ | ◎ |
カロリー | 200kcal | 150kcal | 100kcal |
成分の質 | 人工 | 人工 | 天然素材 |
成分量 | 1000mg | 1500mg | 3000mg |
他社製品との比較を明示することで、自社製品の優位性を具体的に示すことができます。これにより、消費者の選択基準が明確になり、購買決定を後押しします。例えば、成分量や価格、効果の違いを比較表で示すことで、自社製品の強みが一目瞭然となります。結果として、競合他社との差別化が図れ、市場での競争力が高まり、売上増加につながる可能性が高まります。
ただし、健康食品でも以下の点に注意が必要です:
- 比較する際は公平で客観的なデータを使用する
- 誇大広告にならないよう気をつける
- 他社の商標を不正に使用しない
安心・安全
安心・安全に関する表現も、化粧品と健康食品では大きく異なります。
- 「安全」「安心」という言葉の使用は厳しく制限されている
- 副作用がないことを示唆する表現も禁止
- 「無添加」「ノンケミカル」などの表現も使用に注意が必要
- 「安全」「安心」という言葉の使用が比較的自由
- 原材料や製造過程の安全性をアピールできる
- 安心して飲める天然素材100%のサプリメント
- お子様や女性も安心
- 安心・安全な国内工場で製造
安心・安全をアピールすることは、消費者の信頼を獲得する上で非常に重要です。原材料の品質や製造過程の厳格な管理、安全性試験の実施などを強調することで、製品の信頼性が高まります。これにより、特に健康や体調に敏感な消費者層の支持を得やすくなり、リピート購入にもつながります。さらに、ブランドイメージの向上にも貢献し、長期的な顧客関係の構築に役立ちます。
ただし、以下に注意が必要です。
- 科学的根拠に基づいた表現を使用する
- 消費者に誤解を与えないよう、正確な情報を提供する
- 法律や業界のガイドラインを遵守する
特許
特許に関する広告表現も、化粧品と健康食品で取り扱いが異なります。
- 特許に関する訴求は原則NG
- 特許の取得を積極的にアピール可能
- 特許と製品の効果を関連付けた説明も可能
- 「特許技術使用」などの表現も問題なし
- 特許取得の独自技術で栄養吸収率アップ!
- 特許取得成分配合
- 独自の特許技術
特許の取得をアピールすることは、製品の独自性と技術的優位性を示す強力な証拠となります。これにより、他社製品との明確な差別化が図れ、消費者に選ばれる理由を提供します。また、研究開発への投資や技術力の高さをアピールすることで、企業イメージの向上にもつながります。結果として、プレミアム価格設定の正当化や、業界でのリーダーシップ確立にも寄与し、市場シェアの拡大を促進する可能性があります。
ただし、以下に注意が必要です。
- 特許の内容を正確に伝える
- 特許番号など具体的な情報を提供する
- 特許が製品のどの部分に関するものかを明確にする
医師の推薦・共同開発
医師の推薦に関する表現は、化粧品と健康食品で大きく異なります。
- 医師による推薦や証言の使用は原則禁止
- 「皮膚科医が開発」などの表現も使用に注意が必要
- 医療関係者の肩書きを用いた広告は避けるべき
- 医師による推薦や証言の使用が可能
- 「○○医師監修」といった表現も使える
- ○○大学医学部教授推薦!
- 医師「私も飲んでいます」
- △△クリニック代表「プロテインは現代女性の味方です」
医師の推薦や共同開発をアピールすることで、製品の信頼性と効果に対する消費者の信頼度が大幅に向上します。医療専門家の支持は、製品の科学的根拠を裏付け、安全性や効果に関する消費者の不安を軽減します。
これにより、特に健康に関心の高い消費者層からの支持を得やすくなり、競合製品との差別化にも大きく貢献します。結果として、ブランドの信頼性向上と売上増加につながる可能性が高まります。
ただし、以下に注意が必要です。
- 実在の医師による真正な推薦であること
- 医師の専門分野と製品の関連性を明確にする
- 効能効果への言及はできない
健康食品の場合、医師のコメント掲載は認められています。ただ、「この成分は生理痛に効きます」「肌をうるおす効果があります」など、健康食品でNGとされている効能効果を訴求することはできないことに注意が必要です。
あくまで、一般的な健康や身体に関する表現や、不足する栄養を補うことが必要、といった表現に留めることが求められます。
大学との共同研究
大学との共同研究に関する広告表現も、健康食品では禁止になっていません。
- 大学との共同研究は避けるべき
- 研究結果と製品の効果を直接結びつける表現は避けるべき
- 大学名や研究者名の使用は避けるべき
- 大学との共同研究をアピール可能
- 研究結果と製品の効果を関連付けた説明も可能
- 大学名や研究者名の使用も比較的自由
- 〇〇大学共同研究
- 〇〇大学△△科教授と共同開発
- 〇〇大学開発の独自成分配合
大学との共同研究をアピールすることは、製品の科学的根拠と信頼性を大幅に向上させます。学術機関との連携は、最新の研究成果や専門知識が製品開発に活かされていることを示し、消費者に安心感を与えます。
また、企業の研究開発への真摯な姿勢をアピールすることで、ブランドイメージの向上にも貢献します。これにより、競合他社との差別化が図れ、特に健康や科学に関心の高い消費者層からの支持を得やすくなります。
ただし、以下に注意が必要です。
- 研究内容を正確に伝える
- 研究の規模や期間など、具体的な情報を提供する
- 研究結果が製品のどの部分に関するものかを明確にする
臨床データの活用
臨床データとは、臨床データとは、実際の人を対象に行われた試験や研究から得られた情報のことです。製品の効果や安全性を科学的に示すために使用され、消費者に信頼性の高い情報を提供する重要な役割を果たします。
臨床データの掲載も化粧品では禁止されていますが、健康食品では禁止されていません。
- 臨床試験の実施自体は可能
- 具体的な数値やグラフの使用は原則禁止
- 臨床試験の結果を活用可能
- 具体的な数値やグラフを用いた説明も許容
臨床データの活用は、製品の効果を科学的に証明する強力な手段となります。具体的な数値やグラフを用いて効果を示すことで、消費者の理解と信頼を得やすくなります。
これにより、製品の信頼性が大幅に向上し、購買決定を後押しする要因となります。また、エビデンスに基づいたマーケティングが可能となり、競合他社との差別化にも大きく貢献します。結果として、特に効果に敏感な消費者層からの支持を得やすくなり、市場での競争力向上につながります。
ただし、以下に注意が必要です。
- 血圧、肌への効果、身体への効果を直接的に示すのはNG
- データの出典や試験方法を明確に示す
- サンプル数や試験期間などの情報も併せて提供する
- 統計的に有意な結果のみを使用する
まとめ
化粧品と健康食品の広告表現の違いを理解することは、OEM事業を成功させる上で非常に重要です。適切な広告戦略は、製品の魅力を最大限に引き出し、消費者の信頼を獲得するための鍵となります。この記事で紹介した内容を踏まえ、以下の重要なポイントを押さえておきましょう。
- 他社との比較:A社、B社、自社の成分比較等が可能
- 安心・安全:「安心安全な成分を使用」などが可能
- 特許:アピール可能
- 医師の推薦:現時点で禁止されていない(効果への直接的な言及は不可なので注意)
- 大学との共同研究:現時点で禁止されていない(効果への直接的な言及は不可なので注意)
- 臨床データの活用:使用可能(効果への直接的な言及は不可なので注意)
これらの違いを理解した上で商品設計をすることで、より効果的なOEM開発とマーケティングが可能になります。
引き続き、化粧品・健康食品OEM開発を行うみなさまのお役に立つ情報を発信していきます!